もの忘れの原因は男性更年期障害の可能性も

もの忘れの原因は男性更年期障害の可能性も

「人の名前が出てこない」「昨日の夕飯が思い出せない」という経験はありませんか。一般的に年を重ねるともの忘れが増えてきますが、中には男性更年期障害という病気が隠れている場合もあります。そこで今回はもの忘れの原因や男性更年期障害の症状、治療法などをご説明いたします。

男性にみられる「もの忘れ」
もの忘れは脳の神経細胞のはたらきが低下する、脳の血流が悪くなるなど、脳の老化によって引き起こされるほか、以下のようなものが考えられます。

● 睡眠不足
睡眠はノンレム睡眠とレム睡眠の2種類があり、前者は脳が覚醒していない状態のことで、後者は筋肉が弛緩して急速状態にあるが脳が覚醒状態にある睡眠のことです。ノンレム睡眠中は日中に経験した嫌なこと消去する一方、レム睡眠中に記憶が定着するとされています。また眠りはじめは深い眠りに入って体を休めるノンレム睡眠になり、時間が経つにつれてある一定の周期で記憶に関わるレム睡眠が出現します。そのため、睡眠不足に陥ると記憶が定着しづらくなり、もの忘れが気になり始める場合があります。働き盛りの男性は睡眠不足になる可能性があるため、注意が必要です。

● 認知症
認知症とは、認知機能が継続的に低下し、社会生活や日常生活に支障が出ている状態を指します。もの忘れと認知症は混同してしまいがちですが、記憶のメカニズムに違いがあります。人間が物事を記憶するとき、「①学習して覚える②維持する③思い出す」という3つのステップを踏んでいます。

加齢によって引き起こされるもの忘れは、「③思い出す」の力が低下している場合が多く、覚えているつもりなのに出てこないということが起きます。
一方で認知症によるもの忘れの場合、「①学習して覚える」の力に衰えがみられ、もの忘れの自覚がない、ご飯やお風呂など日常で経験したことをすべて覚えていないということが起きます。

認知症の場合はなんらかの症状によって脳の神経細胞が壊れることにより発症しますが、単にもの忘れが起きている場合は加齢による脳機能の低下のほか、男性ホルモンが関わっていることがあります。男性ホルモンであるテストステロンが低下した場合にもの忘れや集中力の低下、筋力低下や全身倦怠感などが生じる男性更年期障害になるリスクが高まることが知られています。

また、ある研究では、認知症患者における海馬中でのテストステロン濃度が低くなっているという報告があります。

 

男性更年期障害は認知症やうつ病の発症リスクを高める
テストステロンの低下は男性更年期障害を招き、もの忘れや集中力の低下、筋力低下や肥満などの症状がみられることがあります。また認知症やうつ病、脳卒中や心筋梗塞などになるリスクが高まることもわかってきており、軽視できない病気のひとつです。もの忘れをはじめ、気になる症状がある方はお気軽に当院へご相談ください。