前立腺癌

加齢によるホルモンバランスの変化が原因。早期発見&適切な治療が大切。

前立腺癌とは

前立腺がんは、中高年の男性において注意すべき前立腺の病気のひとつです。
前立腺がんの発生には男性ホルモンが関与しており、加齢によるホルモンバランスの変化が影響しているものと考えられています。
早期に発見できれば、ほかのがんに比べて治りやすいがんと言われていますが、初期には自覚症状がほとんどないため発見が遅れることがあります。
進行すると骨やほかの臓器にまで転移することがあるため、早期に発見し適切な治療を行うことが大切になります。

がんが大きくなって尿道が圧迫されると、尿が出にくい、尿の回数が多い、排尿後に尿が残った感じがする、夜間の尿の回数が多いなどの症状が現れます。
ただしこれらは前立腺肥大症でも起こるものであり、がん特有の症状とはいえません
がんが尿道や膀胱に広がると、排尿時の痛みや尿もれ、肉眼でわかる血尿が認められ、さらに大きくなると尿が出なくなります。
前立腺の上部にある精嚢腺(せいのうせん)に広がると、精液が赤くなることがあります。

治療方法

手術
前立腺と精嚢、骨盤リンパ節を一塊として摘出する根治的な治療法です。前立腺を摘出して、膀胱と尿道を吻合します。
病気の進行度合いによってはリンパ節郭清を省略したり、勃起をつかさどる神経を温存することも可能です。
放射線療法
放射線を前立腺に照射して治療します。前立腺に限局した癌が適応で、手術とほぼ同等の治療効果が期待できます。
放射線療法はその照射方法により(1)外照射と(2)組織内照射とに分けられます。

(1)外照射療法:体の外から前立腺に放射線を照射する方法です。
(2)組織内照射療法:小さな粒状の容器に放射線を出す物質を密封したもの(放射線源)を前立腺の中に入れて体内から照射する方法です。
内分泌療法 (ホルモン療法)
前立腺がんには、精巣や副腎から分泌されるアンドロゲン(男性ホルモン)の刺激で病気が進行する性質があるため、男性ホルモンを体の中から取り除くことで前立腺がんの発育を抑制することができます。
転移があるなど病状の進行している方や、高齢の方、また手術や放射線治療後に再発した患者さんなどに対してこの治療を施行します。
抗がん剤治療
薬を注射や点滴または内服することにより、がん細胞を消滅させたり小さくしたりすることを目的として行います。
ホルモン治療の効果がなくなり、去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)へと進行した場合に行われます。
PSA監視療法(アクティブ・ サーベイランス)
低リスク前立腺癌(癌の悪性度が低く、進行が軽度の場合)積極的な経過観察を選択することもできます。治療法にはそれぞれ副作用が必ず伴いますから、現在の生活の質を大切にしたい場合、がんが微少で病理学的悪性度が低い場合、症状のない超高齢者の場合などが適応となります。癌の進行が疑われる場合は治療を開始します。